top of page

劇団大樹 第14回本公演「半月カフェの出来事」再公演のご案内

 

お元気にされていますか。緊急事態宣言下の中、ご案内を失礼いたします。

 

この「半月カフェの出来事」は、昨年4月、劇団25周年の記念公演として上演される筈でした。コロナ禍の緊急事態宣言・・劇場が閉館し「延期」という苦渋の選択をした公演です。辛抱、辛抱のこの1年。きっと今頃は明るい気持ちで皆様に公演のお知らせが出来る・・そう信じて過ごして来ましたが、このコロナという奴はしぶとく僕らの油断の隙間に潜伏し、未だ人と人が触れ合う機会を奪っています。でもこの1年で僕らもやるべきことが分かって来ました。それは日本人が古くから続けて来た習慣を徹底することです。うがい、手洗い。実は、この習慣には1000年以上の歴史があります。日本で最初に疾病が流行した時、時の天皇が神社に手水処を作り、口をゆすぎ、手を洗う習慣が始まったと言われています。日本人の感染が他国のように爆発的に増えないのは、先人たちが残してくれたこういう習慣によるところも大きいのではないでしょうか。これに加え、マスク、消毒、換気をしつこく徹底することが、コロナへの最大の嫌がらせだと僕は思っています。

 

さてこの「半月カフェの出来事」ですが、昨年よりも物語に深みが加わり、表情豊かにバージョンアップされています。新たに迎えた俳優と演奏家が物語に新鮮な風を吹き込み、作者である み群杏子さんは新たなアイデアから膨らんだ展開を加筆をして下さいました。今思えば、ゆっくりと作品を熟成させる期間を得たことは幸いでした。また今公演は「ライブ配信」にも初挑戦。劇場で観劇するか、配信で堪能するか、お客様のお気持ちに合わせた観劇方法をご用意しました。

 

この物語の登場人物たちは、皆、片割れの「半月」として描かれています。人の心は時が満ちれば満月となる「月」とは違い、簡単には真円とはなりません。そしてその真円も刹那のことであり、また欠けゆき満ちてゆくという永遠の連なりを人は生きています。この「半月カフェの出来事」は、本の見開きが2つのページで出来ているように、片割れの者たちが連なり、ひとつのお話になって行く優しい物語です。目に見えるものだけが真実ではない、人は小さな思い出の中に自分の居場所を見つけることもある。そして実現しなかった過去にも、未来にも、その思い出はあるのです。

 

また世の雲行きが怪しくなって来ましたが・・僕らは劇場がまた閉じない限り、出来得る限りの対策を講じ、皆様をお迎えします。演劇はお客様の存在なくして成り立ちません。そして僕らは日々お客様の顔を想像しながら稽古に励んでいます。ご判断は皆様に委ねますが、劇場でお会いすることが出来ればこんな嬉しいことはありません。きっときっと素敵な作品に仕上げてみせます。

 

                                    劇団大樹 川野誠一

bottom of page