top of page

「ひめごと」再演にあたって

星みずく/共同プロデュース:み群杏子

昨年、「夜の言箱」という、2つの戯曲といくつかの小作品を集めた本を出した。その中に今回上演される「ひめごと」も所収されている。「ひめごと」は、前にも大樹さんで上演していただいている。私にとっても大切な作品だ。ただ、今回の再演にあたって、一部改稿した所がある。

 

昨年、川野さんが京都にいらした時、自宅近くのお寺に案内させてもらったのだが、そこでの何気ない会話から、私は亡くなった古い友人を思い出した。彼から届いた一通の絵葉書と彼の過去。話すうちにそれが「ひめごと」に登場する一人の男の人生と重なっていく。前作では書かれなかった一人の男の過去。今回はそこを書くことで、もう一つの物語が見えてくるのではないか。つまり女たちの物語に加えて、以前は書けなかった男たちの物語が。川野さんに演じてもらいたい。構想が膨らんでいった。

 

コロナ禍の中、上演される12月がどういう状況になっているのか心配ではあるが、私は大樹版の「ひめごと」を、たくさんの方に観ていただきたい思いでいっぱいだ。

子供の頃から詩や童話を書いていたが、1991年、戯曲 「恋心のアドレス」 が、文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作を受賞し “劇作家” として活動を開始する。1992年にも 「ポプコーンの降る街」 が同賞を連続受賞。その後、Kiss-FM 「Story for Two」 のレギュラー執筆を担当。言葉のニュアンスを大切にしたポエティックな作風が特徴。生の悲しみおかしみを根底に持つ独特の作品世界を展開。2002年には、初の戯曲集 「微熱の箱」 が出版される。現在、自作をプロデュースするリーディングユニット 「星みずく」 を主宰。現在は劇団大樹の共同プロデューサーでもある。

bottom of page