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~2008年 「ひめごと」劇評~

読売オンライン「河村常雄の劇場見聞録」 

<見> 都心の雑踏から少し離れた、隠れ家のような小さな地下劇場で、お洒落な舞台を見た。東京/東長崎の「てあとるらぽう」で上演された、み群杏子 脚本の劇団大樹「ひめごと」である。退職教師/大沢未散(おぎのきみ子)と図書館司書/大沢翠(柿森ななこ)の母娘がつつましく営む下宿屋。秘密にされていた娘の父親のことが、ジャーナリストを名乗る男/真木森生(川野誠一)の訪問で少しずつ明らかになっていく。未散の過去を知る古い下宿人/峠(納谷六朗)の存在が物語をスリリングにし、お手伝いの娘/久美(戸張智春)が舞台を明るくした。小劇場というと「若者の熱気」が通り相場だが、ここでは落ち着いた詩情が漂う。心地よい二十五絃筝(荒井美帆)と豪華な生け花(横井紅炎)が贅沢な空間を作り出す。ひめごとは負い目ではない。人生を豊かにする小道具かもしれない。

◆河村常雄

1973年、読売新聞入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていた事から芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)ほか。

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​劇団大樹 第9回本公演

​ひめごと

~ 小劇場てあとるらぽう協賛 ~

2008年12月10日(水)~14日(日)

於:小劇場てあとるらぽう

作:み群杏子

演出:山口あきら

(青年座)

音楽・演奏:荒井美帆

​(二十五絃箏)

花美術:横井紅炎

(草月流華道家)

​<キャスト>

大沢未散:おぎのきみ子

大沢翆:柿森ななこ

真木森生:川野誠一

久美:戸張智春

峠:納谷六朗

製作総指揮:川野誠一

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